Regret

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    約束しよう?
    いつも傍に居ると、いつも一緒に居る…と。 実際の距離に束縛し合うのではなく、この心に寄り添って。
    直接逢えない事は厭わしくても、否めないから。 それでも想いは、空間を越えていけるから。
    夢よりも確かに、現実よりは幽かに。
    だから…指切りをしよう?

    慌しさに紛れて、まだ忘れてしまえる自分に…安堵する。 忙しさにも、君の事が捨てられないようなら、それは…多分、壊れる寸前。
    ただ、それは。
    不意に訪れた気の抜ける瞬間に、押さえつけていた想いの暴走に翻弄される事…でもあるのだけれども。
    夢に…繰り返す、手離してしまった瞬間。
    この手にまだ残る、擦り抜けていった白い華奢な指の温度。 この手を捕らえようとしていた、その力を…まだ憶えている。
    手袋を脱ぎ捨てる時に、その感触まで拭い捨て去れれば良いものを…。
    最初から届かなければ、これほど想い惑わなくて済んだんだろうか。 一度は確かにその手を掴んだが為に、逃してしまったという自責の念。 それが、あの別れを夢に繰り返す。

    …あの高さだ、きっと無事じゃない。
    それでも、あの高さだ。きっと…絶対に、生きている。
    …あの場に敵兵が居た事など、無理矢理に意識の外に置き去りにして。 冷静になれば、その死を認めてしまいそうになるから。 そう考える事の方が、どれだけ自然な事なのか…嫌と言うほど理解出来るから。
    赦して欲しいと願うのは…君の手を、離してしまった事ではなく。
    その結果、君を永久に…完全に失って仕舞ったのじゃないかと怖れる自分の為だけに。 あの手を逃さなければ、こんな考えに怯える事など無かったのに…と、全く自分の心の安定の為だけに、あの時を悔いている事。
    君の現在がどうか…では無く、それを考え疲れて不安定な自分…に焦燥している事。

    そして、浅い眠りに転々として。

星空の中、それに照らされるだけの部屋。
    蒼く晴れた空の下、緑の上。
低くかすかに足下に響く、エンジンの唸り。
    風は吹き抜けても、言葉は無く。
眺める先は、もう見えないはずの地球。
    交差する視線、投げ掛けられる笑み。
ただ、手摺りに添えているだけの手。
    愛しげに、芝を撫でていく指。
重ねた、この手のひらの中に。 確かに伝わってくる…その温かさ。

    目覚める度に思い知らされる、独りという現実。

    残された君の居る地球も、残してしまった自分の居るここも。 どちらにも等しいだけ、君の幻が棲み着いているのに。 その距離は隔たっているという、現実。
    そして…また、眠れない。

    約束しよう。
    いつも傍に居ると、いつも一緒に居る…と。 実際の距離に離れてしまうのではなく、お互いの心に寄り添って。
    直接逢えない事が厭わしくても、否めないなら。 それでも想いだけは、空間も時間も越えていけるから。
    嘘よりも確かに、真実よりは幽かに。
    だから…指切りをしよう。 目の前の…幻の君と。

    必ず戻るから、必ず出迎えて…と。

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Last Update : 20040123
Tatsuki Mima