棚引いている「ように見える」可能性は有る。
だが、そもそも「煙ではない」可能性が高い。
小型艇ならばともかく、大型艦内で乗員は気密服を着用していない。
という事は、艦内はその搭乗員の母星の大気に近い「空気」が満ちているという事だ。
地球の大気組成は78%が窒素、21%が酸素、残る1%をアルゴンや二酸化炭素などが分け合っている。
ヤマトの艦内は、これに準じているはずだ。
そしてこの艦内で過去、ガミラス人捕虜、彗星帝国人捕虜、イスカンダル人(スターシャ)、テレザート人(テレサ)、ボラー連邦人(ラム艦長)、シャルバート人(ルダ王女)、ディンギルの少年が呼吸に不自由なく居た例がある。
暗黒星団帝国の人間が地球上で、問題なく生きていたのは周知の事実。
つまり、シリーズに登場する全ての艦内には、酸素を20%前後含む空気が満ちている事になる。
燃焼時に「炎を上げ」、まま不完全燃焼で「煙を出す」はずの、酸素含有量を持った空気が。
さて、艦砲・艦載機戦時。
被弾箇所には、ほぼ100%に近く火災が発生するだろう。
という事は、それに伴って煙も発生するはずだ。
艦砲発射・着弾・被弾箇所の爆発などの反動で、全く静止している艦はまず有り得ないだろう。
だとすれば、相対的な位置移動によって「煙が棚引いているように見える」事はあるはずだ。
ここで、問題が幾つか出てくる。
1)煙の不規則な動きを作る、ブラウン運動が起こらない。
空気中の気体分子が、煙の微粒子に激突して移動させる…のが「ブラウン運動」。
気体分子密度が極めて薄い宇宙空間では、それが起こらない為「最初に放出された方向」に微粒子は移動し続けるはず。
2)宇宙空間ではあっという間に拡散し、目に見えなくなるはず。
上記と重なるが「最初に放出された方向」に移動し続けるという事は、すなわち「拡散」である。
ついでに、煙と同時に流出している空気も、似たような理由で拡散してしまう。
理屈では、相対位置が少し変わっただけで、もはや煙は煙として「目に見える」密度ではなくなる…という事だ。
恐らく、被弾箇所がわずかにガスってるようにしか見えないだろう。
万が一、煙の移動方向(角度)がほぼ同一だったとしても、それは「直線的」にしか見えず「もくもく」といった感じには見えようがない。
では、宇宙空間で「もくもく」とした「煙」が「棚引いている」ように見える為には…?
最初から、それが「煙」でなければそう見える可能性は有るだろう。
被弾箇所から流れ出すのは、煙・空気の他に艦体の破片もあるはずだ。
人間や、設置してあった「物体」の流出も在り得る。
機関部の破損ならば、燃料の流失もあるだろう。
これらが、遠くから見た場合に「煙のよう」に見える可能性が無くはない。
流出するものの大きさがある程度小さく、連続的に流出が続いている…必要は有るが。
しかし、この場合でも「もくもく」とした感じには見えないに違いない。
「もくもく」と見える為には、流出している物質が断続的に「小爆発」を起こせば…あるいは。
▲ |
<前頁
Last Update : 20031201
Tatsuki Mima