訓練学校(ここ)の志望理由…。
面接の時は…何て、答えたんだったかな?
当り障りの無い、もっともらしい事を言ったんだと思うけど…もう、憶えてない。
「おい、島。
お前、入学の時の成績…トップだったって?」
同じ…似たような質問は、もう何回聞いただろう。
「筆記は、ね。
普通の『学力・教養』問題だっただろう?」
軍事や戦闘についての知識も興味も、今現在まだ有る訳じゃない…と。
ここじゃなくても良かったんだ…という意味が、どれだけ伝わっているのかと思いながら。
「どうしても、入学(はい)りたかったからな」
訓練学校(ここ)じゃなくても「全寮制」の所なら、何処でも。
…だって「全寮制」なら、本当に何処でも良かったんだから。
自分だって、この時代に生まれてしまった人間だ。
ごく普通に、現在と未来を憂える感情くらい無くはない。
だけど、それをどうこうしよう…なんて、使命感も義侠心も無い。
どう、じたばたしたって勝てない時は勝てないだろうし、負けない時はきっと負けない。
どんなに死んで欲しくない人でも、いずれ死んでしまうのだろうし。
どれだけ生まれて欲しくない時でも、仕方なく生まれてしまうのだから。
15やそこらでも「子供」はコドモなりに、それなりに真剣に考えてる事だって有るさ。
大人にしてみれば、多分…とてもくだらない事だったとしても。
こっちにしてみれば、とんでもなく重大な事態だったりする事だって有るんだよ。
…もう少し、俺が「大人」になったら。
今の自分に苦笑する…のかも知れないけどね。
元々の理由が、絶対的に違うんだな…というのは、訓練学校(ここ)に来てみてひしひしと感じる事。
俺はこんなに…意気揚揚として、居られない。
そもそも、戦う意欲なんて全く無いから。
絶対に「倒す」…なんて、今までの大人たちだって散々に誓ってきた事なんじゃないのか?
そうして今まで、どれくらいの犠牲を積み重ねて来たんだろう?
それでも倒せないで、ここまで来てるんだろう?
今後…で、倒せるんだろうか。
第一に、倒さなければならないものなんだろうか?
逃げて済む事なら、多分…逃げる。
逃げてしまう事が、こんなに楽な場合だって有るんだ。
戦わないで済むのなら、それに越した事なんて無いと思う。
…何処まで、逃げ切れるんだろうな…。
◇
◇
◇
◇
入学した頃の島さん…って、あんまり憶えてないなあ…。
僕と島さんって、訓練学校じゃあんまり顔合わせてないんですよね。
いや…それは、名前くらい知ってましたよ?
筆記トップ入学だったんだから、知らない方が変ですって。
ほら…訓練学校って、何でもかんでも「成績」ってのは、全員に知れちゃうじゃないですか。
入学最初に知れ渡っちゃうのは、やっぱり入学時の成績でしょう?
当然、印象強いですよ。絶対に。
僕なんて、筆記も体力テストの方もギリギリだったんで…って、笑わないで下さいよっ!
まあ…だから余計に、すごいなあ…って憶えてたんです。
だ〜か〜ら〜、もうっ。
笑わなくて良いですってばっ。
僕ね、最初の頃の島さんって「変な人」だって思ってたんですよ。
ホントですってば。
だから、顔は知らないけど名前だけは憶えてたんですから。
さっきも言ったけど、ホントに成績は全部バレちゃう所ですからねえ。
小さなペーパーテストから、毎日の訓練まで、何から何まで順位付けられてたでしょう?
…で、知識とか理論とか…筆記だけは、何やらせてもトップクラスだったじゃないですか。
ずーっと。
なのに実技訓練になったら、ものすっごく成績悪いし。
え?何言ってるんですか、島さん。
自分の事なのに、憶えてないんですか?
実技は…「最下位」くらいのとこ走ってたじゃないですか?
いや…ホントに。
毎回、下から探した方が、絶対早かったですもん。
何か…極端な人だなあ…って。
えーと…確か、夏だったかなあ。
急に、成績良くなったんですよね。
それもいきなり、上位に行っちゃうし。
あれ、絶対わざとやってたでしょう?
憶えてないって変ですよ、嘘吐かないで下さいよ。
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Last Update : 20040110
Tatsuki Mima