Growing up:03

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    訓練学校(ここ)の志望理由…。
    面接の時は…何て、答えたんだったかな? 当り障りの無い、もっともらしい事を言ったんだと思うけど…もう、憶えてない。
「おい、島。 お前、入学の時の成績…トップだったって?」
    同じ…似たような質問は、もう何回聞いただろう。
「筆記は、ね。 普通の『学力・教養』問題だっただろう?」
    軍事や戦闘についての知識も興味も、今現在まだ有る訳じゃない…と。 ここじゃなくても良かったんだ…という意味が、どれだけ伝わっているのかと思いながら。
「どうしても、入学(はい)りたかったからな」
訓練学校(ここ)じゃなくても「全寮制」の所なら、何処でも。
    …だって「全寮制」なら、本当に何処でも良かったんだから。

    自分だって、この時代に生まれてしまった人間だ。 ごく普通に、現在と未来を憂える感情くらい無くはない。 だけど、それをどうこうしよう…なんて、使命感も義侠心も無い。
    どう、じたばたしたって勝てない時は勝てないだろうし、負けない時はきっと負けない。
    どんなに死んで欲しくない人でも、いずれ死んでしまうのだろうし。 どれだけ生まれて欲しくない時でも、仕方なく生まれてしまうのだから。
    15やそこらでも「子供」はコドモなりに、それなりに真剣に考えてる事だって有るさ。 大人にしてみれば、多分…とてもくだらない事だったとしても。
    こっちにしてみれば、とんでもなく重大な事態だったりする事だって有るんだよ。
    …もう少し、俺が「大人」になったら。 今の自分に苦笑する…のかも知れないけどね。

    元々の理由が、絶対的に違うんだな…というのは、訓練学校(ここ)に来てみてひしひしと感じる事。 俺はこんなに…意気揚揚として、居られない。
    そもそも、戦う意欲なんて全く無いから。
    絶対に「倒す」…なんて、今までの大人たちだって散々に誓ってきた事なんじゃないのか? そうして今まで、どれくらいの犠牲を積み重ねて来たんだろう? それでも倒せないで、ここまで来てるんだろう?
    今後…で、倒せるんだろうか。 第一に、倒さなければならないものなんだろうか?
    逃げて済む事なら、多分…逃げる。 逃げてしまう事が、こんなに楽な場合だって有るんだ。 戦わないで済むのなら、それに越した事なんて無いと思う。

    …何処まで、逃げ切れるんだろうな…。

        ◇     ◇     ◇     ◇

    入学した頃の島さん…って、あんまり憶えてないなあ…。 僕と島さんって、訓練学校じゃあんまり顔合わせてないんですよね。
    いや…それは、名前くらい知ってましたよ? 筆記トップ入学だったんだから、知らない方が変ですって。
    ほら…訓練学校って、何でもかんでも「成績」ってのは、全員に知れちゃうじゃないですか。 入学最初に知れ渡っちゃうのは、やっぱり入学時の成績でしょう? 当然、印象強いですよ。絶対に。
    僕なんて、筆記も体力テストの方もギリギリだったんで…って、笑わないで下さいよっ!
    まあ…だから余計に、すごいなあ…って憶えてたんです。
    だ〜か〜ら〜、もうっ。 笑わなくて良いですってばっ。

    僕ね、最初の頃の島さんって「変な人」だって思ってたんですよ。
    ホントですってば。 だから、顔は知らないけど名前だけは憶えてたんですから。
    さっきも言ったけど、ホントに成績は全部バレちゃう所ですからねえ。 小さなペーパーテストから、毎日の訓練まで、何から何まで順位付けられてたでしょう?
    …で、知識とか理論とか…筆記だけは、何やらせてもトップクラスだったじゃないですか。 ずーっと。
    なのに実技訓練になったら、ものすっごく成績悪いし。

    え?何言ってるんですか、島さん。 自分の事なのに、憶えてないんですか?

    実技は…「最下位」くらいのとこ走ってたじゃないですか? いや…ホントに。 毎回、下から探した方が、絶対早かったですもん。
    何か…極端な人だなあ…って。
    えーと…確か、夏だったかなあ。 急に、成績良くなったんですよね。 それもいきなり、上位に行っちゃうし。
    あれ、絶対わざとやってたでしょう? 憶えてないって変ですよ、嘘吐かないで下さいよ。

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Last Update : 20040110
Tatsuki Mima