蒼い空、記憶より遠い波打ち際。
灰色の街は天を突くように伸び上がり、その中に人々の生活の音。
でも…まだ赤い大地。
一面に曇った空から、ひとつ、ふたつ。
微かな風に揺らぎながら、雪華が舞い落ちてくる。
大地の上に跡だけを残しては、みっつ、よっつ。
名残惜しげに、雪片は消えていく。
こんな時でも、四季は巡(めぐ)る。
忘れ掛けていた秋も、いつの間にやら過ぎ去って。
まだ赤茶けたままの大地にも、造り掛けた灰色の街にも、冬は訪れて。
最初は雪を嫌うように、その表面に融かしていた大地も、街も。
いつしか、そんな事を忘れたように。
そして、今や…見渡す限り、うっすらと雪化粧。
今…この地球(ほし)を、宇宙(そら)から眺め降ろしたとしたら。
もしかしたら、透きとおるような銀色に見えるんじゃないかな?
だって…ほら、綺麗だろう?
傷付けられた赤さがこの瞳に映らないというだけの事で、この惑星(ほし)は…こんなにも。
いつか遠い日に、至極当たり前のように在った、冬の姿をして。
…綺麗だったんだよ、この地球(ほし)は。
現在(いま)はほんの少し、疲れてしまっているだけで。
本当は。
いつものままの冬に、積もった雪の下にゆっくりと眠って。
この次の春に目を覚ました時には、その傷が癒えてしまっていれば良いのに。
滴(したた)るような一面の緑に、包まれて。
懐かしい、いつかの風景がまた…この地上に広がって。
…良いじゃない。
永い冬の間に、そんな夢を見たって。
何もかもが雪の下に、深く深く眠る季節に。
それは、きっと…この地球(ほし)も、傷付きながらもずっと見ていた夢だから。
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Last Update:20051003
Tatsuki Mima