黒白の闇:01

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    貴女は今、幸せですか?
    …はい、幸せ…だと思います。

──でも…私が幸せでいて、それで良いんでしょうか?

        ◇     ◇     ◇     ◇

    人の声のさざめきが、争う爆音に取って代わって。 賑やかだった街も、今や漠々とした荒涼。 緑も水も、街の灯りも消え去った後には、ただ…吹き狂う風の音だけ。
    そんな風景が、私の「造った」世界。 私が、この…呪わしい世界の創造主。
    …そう。
    累々たる屍と、積み重なって転がる瓦礫と。 破壊と殺戮という名の力を揮(ふる)うたその結果が、現在(いま)ここに在る景色だから。
    …違う。
    何を生み出す事も無いまま、壊していくしか出来ない事を、誰が「創造」などと呼ぶ?

    だから…違うわ。こんなつもりでは無かったのに。
    私は…ただ、争いを見たくなかっただけ。 それを…ただ、止むようにと願っただけ。 失われる生命と、崩れ落ちていく建築を惜しんで。 以前(むかし)を懐かしく、戦争(いま)を嘆いただけ…のはずだったのに。
    何故…私だけが、ここに在る?

    …呪われてしまえば良い。こんな私など。
    死者の恨みがもしも人を殺すなら、私は疾(と)うに死んでしまえているだろうなのに。 そうでは無い、その事が…口惜しいほど。

    …そして、今また。彗星までもが消えていく。

    一度見失って、手離して。 そして、知らぬ間にもう一度を失ってしまいそうに。
    それだから…怖い、また失ってしまう事が。 既にこの手の中に在るものも、これから…この手に掴むだろうものも、どちらも全てを。
    まだ、この腕の中に抱いてもいないものを、失ったらどうすれば良い…と困惑するなんて、何て馬鹿馬鹿しい…と自分自身でさえ思うのに。
    それでも、持てるものが増えれば、失くすものも増えるから。
    それならば…いっそ、何も望まない。 失ってしまうかも知れないと怯えるくらいならば、手に入らない事を羨む方がもっと…ずっと楽だろうと思うから。

    いや…失くす事よりも、きっと。
    護りたいと思うものを、護れないまま終わる事の方が怖いから。 とても。

        ◇     ◇     ◇     ◇

    貴方の一番大切な人は、幸せですか?
    …そうであれば良い、と願います。

    だけど…それはこの身の希望であって、本当がどうなのか…は分からないから。

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Last Update:20060126
Tatsuki Mima